8回引っ越して分かった、住まい選びで本当に効くこと|賃貸7軒の不満が注文住宅の仕様になるまで

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家を建てるまでに、8回引っ越しました。木造の古アパート、会社の寮、RC造のリフォーム物件、マンション、分譲戸建、軽量鉄骨の賃貸を2つ。そして注文住宅です。振り返って気づいたのは、私は毎回、前の家で我慢していたことを1つずつ潰してきたということでした。

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この記事は、家の建て方の話ではありません。「住まいを選ぶときの基準が、8回でどう変わっていったか」の記録です。最初の2回は、そもそも自分で選んでいませんでした。

らく子らく子
8回って多くない? よく引っ越したね…。
はた夫はた夫
おかげで「カタログでは分からないこと」は一通り体験できたけどね。

最初の2回は、自分で選んでいませんでした

まず正直に書いておきます。1軒目と2軒目は、自分の判断で選んでいません。

1軒目:親が「広さ」と「安さ」で選んだ、築30〜40年のアパート

大学入学と同時に住み始めた部屋です。兄が狭い賃貸で不便そうにしていたのを見た親が、広さと安さを最優先して選んでくれました。無駄に2DKです。当時の私は高校生で、意識も乏しく、流されるままでした。

住んでみて分かったのは、その2つを優先すると、他が全部犠牲になるということでした。

  • 土壁で古い木造なので、暑い・寒いは当然。壁からクズも落ちてくる
  • 壁が薄く、2階や隣室の音がよく聞こえた
  • 和式トイレとバランス釜
  • Gもよく出た
  • 洗濯機置き場が屋外

2軒目:会社の寮。24㎡のワンルーム

就職と同時に移りました。寮といっても共用部も食事もない、会社が借り上げているだけの普通のマンションです。選択肢として与えられたもの、という意味で、これも自分で選んだとは言えません。

ただ、ここでいちばん大事なことを学びました。

2DKから24㎡のワンルームへ。面積は半分以下になったのに、築年数も設備も立地も改善し、家賃まで下がりました。RC造でエレベーターも地下駐車場もあり、風呂トイレ別。1軒目の不満がまとめて消えたんです。

「広さ」を手放したら、他が全部手に入った。1軒目の選び方への、これ以上ない答えでした。

3軒目からが、自分で選んだ住まいです

ここでようやく、真面目に物件を探すようになりました。そして最初にぶつかったのが、この壁です。

建物・立地・家賃は、3つのうち2つまでしか取れない

物件探しは、建物(広さ・築年数・設備)/立地/家賃のトレードオフです。全部を満たす物件は、まず出てきません。どこに妥協点を置くかが、そのまま住み心地を決めます。

当時の私は残業が多かったので駅からの距離は譲れず、性格的に家賃も上げたくありませんでした。残るのは築年数です。そこで選んだのが築20〜30年だけどフルリフォーム済みという物件でした。

この選び方には、後から気づいた大きな落とし穴がありました。

「リフォーム済み」でも、サッシは交換されていないことがある

内装は一新されていて、フローリングも壁紙もきれい。初めてのシステムキッチンにテンションが上がったのを覚えています。キッチンが広いと自炊が捗る——1軒目で「自分がずぼらだから料理しない」と思っていたのは、実は設備の問題だったと気づきました。

ところが冬になって、結露がすごいことに気づきます。よく見るとサッシだけは以前のまま。ガラスもおそらく1枚です。しかもその部屋は道路沿い・線路沿いでした。

RC造なので隣や上階の生活音はまったく気になりません。それなのに、車と電車の音だけは入ってくる。寝るときに不便を感じるレベルでした。構造は隣戸の音に効き、窓は外の音に効く。役割がまったく違うと、身をもって知りました。

「一つ奥の駅」にすると、条件が合うことがあります

4軒目は、多少経済的に安定してきたので家賃を上げました。すると立地も築年数も広さも設備も、まとめて手に入ります。当たり前ですが、お金で解決できる部分は確かにあるということです。

ここで実感したのが住環境の大事さでした。目の前に新しい公園があり、駅までは遊歩道が整備されていて、街並みが新しい。家の性能や設備とは別に、周りの環境が暮らしやすさを決めていることに、住んでから気づきました。

そして家を買うときには、こんな学びもありました。始発駅や特急停車駅にこだわると、人気が高くて価格が合いません。ひとつ奥の駅にずらしたら、条件に合う物件が見つかりました。駅そのものは譲らないが、どの駅かは譲る。これは今でも有効な考え方だと思っています。

ちなみに、4〜5件回ったあたりで、ようやく目が肥えてきました。最初の数件で決めようとしなくていいと思います。分からないのが普通です。

5軒目:分譲戸建を買って、3年で売りました

一戸建てに住もうと考えたとき、予算的には注文住宅にも手が届きました。それでもそこまでの費用を出すことを良しとできず、分譲戸建を選んでいます。

当時の判断軸は価格・見栄え・広さ・駅からの距離、あとは設備があるかないか、くらいでした。断熱も気密も、施工会社も、メンテナンスも保証も見ていません。

住んでみて分かった、分譲戸建のデメリットは3段構えでした。

  1. 知識がない段階では、何が良くないのかも分からないまま買う
  2. 知識がついた後でも、すでに決まっているので選べない
  3. 納得いかない部分は、あとから費用をかけて直すことになる

3つ目が、いちばん効きました。1階に洗面・風呂・脱衣があるのに、干すのは2階のベランダ。この上下移動に耐えかねて、ほぼ使っていなかった1階の和室を20万円かけてランドリールーム兼ファミリークローゼットに改造しています。

他にも、浅型の食洗機は洗っても汚れが落ちず、大きなものが入らない白い人工大理石の天板は着色が目立ち、こぼした醤油が落ちなくなった屋根裏収納は「階段でつながっていれば使う」と調べていたのに、結局は物置になり、しかも屋根が近くて高温でした。

詳しくは「分譲戸建と注文住宅に両方住んで分かった」に書きました。

誤解のないように書いておくと、分譲戸建には明確な利点があります。費用がまとまっていますし、すぐ住める。注文住宅は契約から引き渡しまでで8〜9か月、その前のメーカー比較で3か月、土地がなければさらに数か月かかります。時間と労力をかけられない人には、分譲戸建はやはり良い選択肢です。

6・7軒目で、今の家の設計思想が決まりました

売却後に住んだ賃貸2軒が、実は今の家にいちばん影響しています。

6軒目:軽量鉄骨のシャーメゾン(45㎡)

  • 遮音が良かった。二重ガラスで外の音も気にならない(車の走行音は気にならず、クラクションやサイレンは聞こえる程度)
  • 初めてのウォークインクローゼット(1.5畳)。「ここなら最悪、着替えもできる」と気づいた
  • 4階でもベランダに鳥が来るので、外干しはせず浴室乾燥が中心に

7軒目:大和ハウスのDルーム(41平米)

  • ホテルライクな洗面所。横180cmほどの大きな鏡。ボウルは普通なのに「広い」と感じた
  • 玄関の人感センサー照明が便利だった
  • 室内物干しはあったが天井に格納されないタイプで、「便利だけどダサい」と感じていた
  • 見せる収納は使いこなせなかった。見えている場所が一番先に散らかる
  • 収納そのものも足りなかった

お気づきかもしれませんが、この7軒で感じたことが、そのまま今の家の仕様になっています。

賃貸で感じたこと 今の家でどうしたか
洗濯機が屋外/2階に干しに行く動線がつらい ランドリールーム+室内物干し+乾燥まで一台で完結
室内物干しが出しっぱなしでダサい 天井に格納できる昇降式を採用
単板ガラスは結露するし、外の音も入る 樹脂サッシに変更(UA値0.54・C値0.29)
1.5畳のWICなら着替えもできた 1階にもWICを設置(娘が将来使うことも想定)
大きな鏡があると洗面所が広く感じる 洗面台は標準のまま、造作カウンター+横長の鏡へ
玄関の人感センサーが便利 センサー類を発展させて採用
見せる収納は維持できない/収納が足りない 隠せる収納を、あらゆる場所に
古いキッチンだと自炊しなくなる キッチンまわりの作業動線を優先

ゼロから考えた工夫は、ほとんどありません。賃貸で「これは効いた」「これは嫌だった」と感じたものを、そのまま持ち込んだだけです。

8回で分かった、住まい選びで本当に効く3つのこと

1. 設備の古さは「不便」ではなく「行動の制限」として効く

これがいちばん大きな発見でした。

設備の問題 できなくなったこと
キッチンが古くて狭い 自炊しなくなる(=食費が上がる)
洗濯機が屋外 夜に洗濯を回せない
壁が薄い 夜静かにしないといけない/友人を呼べない

内見では「この古さを我慢できるか」で考えがちです。でも実際に効くのは「これによって、何ができなくなるか」のほうでした。我慢の問題ではなく、生活の選択肢が削られる問題なんです。

2. 構造だけで音は決まらない。窓を見てください

「木造は避けたい」「RCなら安心」と構造で判断する人は多いと思います。私もそうでした。でも実際は、RC造でも単板ガラスなら線路沿いで眠りが浅くなり、軽量鉄骨でも二重ガラスなら静かでした。

内見のときは、サッシのガラスが1枚か2枚かを必ず見てください。ガラスとガラスの間に空気層が見えるかどうかで判断できます。

3. 住み替えを繰り返すなら、賃貸は思ったより安くない

賃貸の契約時にかかったのは、ざっくり家賃の5〜6か月分でした。敷金・礼金・仲介手数料・前家賃・保険などを合わせると、あっという間にこの水準になります。礼金は戻ってきません。

さらに、引っ越すたびに部屋のサイズや雰囲気に合わせて家具や家電を買い直していました。広い部屋に移れば家具が貧相に見える。きれいな部屋に移れば古い家電が気になる。意志が弱いというより、部屋と持ち物の「格」が揃わないと違和感が出るのだと思います。

実際、家を建てる決断を後押ししたのもこれでした。子どもが生まれて手狭になったとき、「引っ越してもまた家賃5〜6か月分」と考えて、ここで一気に片を付けようと判断しています。詳しくは「賃貸vs購入どっちがお得?」に書きました。

そして、判断の基準は最後まで変わりませんでした

ここまで読むと「こだわりの強い人」に見えるかもしれませんが、実は逆です。お金の使い方については、8回を通して一貫していました。

学生時代、あの古いアパートを受け入れたのは、お金がなかったからだけではありません。生活レベルは一度上げると下げるのが大変だと思っていましたし、この水準でも生きていけると知っておくこと自体に価値があると考えていました。

分譲戸建を買うときも、注文住宅に手は届いたのに選びませんでした。そして最終的に家を建てるときも、高性能で評判の良いメーカーでローンは組めたのに、住宅費がそこまで高くなること自体を良しとできませんでした。

3回とも、判断は同じでした。払えるかどうかではなく、払っていいと思えるかどうか。

8回引っ越して、狭い部屋にも古い部屋にも住みました。だからこそ「これで十分」と言える基準を自分の中に持てたのだと思います。広い家を建てたのは、広さに憧れたからではなく、子どもが生まれて必要になったからでした。

📚 8回ぶんの引っ越しで固まった荷造りの手順と費用は「注文住宅は引っ越しが2回ある|8回引っ越して固まった荷造りの手順」にまとめています。

まとめ

  • 最初の1〜2回は自分で選んでいなくて当たり前。そこから学べば十分です
  • 建物・立地・家賃は2つまで。いちばん捨てやすいのは「広さ」かもしれません
  • 設備の古さは「何ができなくなるか」で判断する
  • 音は構造だけで決まらない。窓のガラスが何枚かを見る
  • 「リフォーム済み」でもサッシは古いままのことがある
  • 住み替えを重ねるなら、初期費用と家具の買い替えまで含めて計算する
  • 賃貸は、家づくりの実験場として使える

最後のひとつが、この記事でいちばん伝えたいことです。今住んでいる家で「これは効いた」「これは嫌だった」と思ったことは、全部メモしておいてください。カタログを眺めて悩むより、実際に暮らして分かったことのほうが、間違いなく役に立ちます。

──以上、愛知県名古屋市の共働き夫婦・はた夫&らく子でした。

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