注文住宅を建てるとき、私たちが契約前から一番こだわったのが「断熱」と「気密」でした。結果はUA値0.54・C値0.29。数字だけ見れば満足のいく家になりましたが、2年住んでみると「性能は良かったのに、それを活かしきる設計ができていなかった」という反省も出てきました。この記事では、実際にかかった費用(窓の樹脂サッシで+約32万円)と、その数値がどのレベルなのかを出典付きで整理し、あわせて私たちが一番やらかした「空調計画」の失敗まで正直にお伝えします。
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らく子
はた夫結論:我が家の断熱・気密スペックと、かかった費用
最初に結論からまとめます。愛知県(省エネ地域区分では6地域)に建てた、共働き夫婦+子ども1人の家の実測値です。
| 項目 | 我が家の数値 | 位置づけ |
|---|---|---|
| UA値(断熱) | 0.54 W/㎡K | 断熱等級5をクリア/HEAT20 G1(0.56)超え |
| C値(気密) | 0.29 ㎠/㎡ | 高気密の目安1.0を大きく下回る |
| 追加費用 | 324,200円(税抜) | 窓をオプションで樹脂サッシに変更 |
標準仕様の断熱は、正直に言えば「ボチボチ」の性能でした。そこから数値を押し上げた一番の要因が、窓の樹脂サッシへのアップグレード(324,200円)です。
この金額には補足があります。契約前の概算では、営業担当から「樹脂サッシで+50万円くらい」とざっくり伝えられていました。そこから設計を詰めるなかで窓を小さくしたり、窓そのものの数を減らしたりした結果、最終的に324,200円に収まっています。
つまり契約前に聞く概算と、内訳明細書に載る実額は動きます。とくに窓は、サイズと数をどうするかで金額が変わる部分です。契約前の数字はあくまで上限の目安と考えておくのが安全です。
UA値0.54はどのくらいの断熱性能なのか
UA値は「外皮平均熱貫流率」といって、家全体からどれだけ熱が逃げやすいかを示す数値です。小さいほど高性能で、地域区分ごとに基準が違います。
愛知県の多くは6地域にあたり、この地域で見ると0.54という数字は次の位置になります。
- 断熱等級5(ZEH基準・UA値0.6以下)はクリア
- HEAT20のG1グレード(目安0.56)を上回る
- ただしG2(目安0.46)には届いていない=G1とG2の中間
「G2に匹敵する」と言いたくなる数字ですが、正確にはG1とG2の間です。ここは正直に書いておきます。とはいえ、国の基準(等級5)を超えている水準なので、体感としては十分に満足しています。
断熱等級・HEAT20の基準値(2026年8月時点で確認)
・断熱等級5=ZEH基準相当。6地域のUA値は0.6以下(国土交通省/住宅性能表示制度・2022年4月新設)。
・HEAT20 6地域の目安:G1=0.56/G2=0.46/G3=0.26(一般社団法人 20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会[HEAT20])。
・断熱等級6はUA値0.46以下、等級7は0.26以下(6地域)。
C値0.29はどのくらいの気密性能なのか
C値は「相当隙間面積」で、床面積1㎡あたりに家全体でどれくらいの隙間があるかを表します。こちらも小さいほど高性能です。一般には1.0以下で高気密、0.5以下ならかなり優秀とされます。我が家の0.29は、その基準からするとしっかりした数値です。
ただ、ここで知っておいてほしいことがあります。C値は「実際に測らないと分からない」数値だということです。UA値が設計段階の計算で出せるのに対し、C値は建てた家で気密測定をして初めて確定します。測定費用の相場は5〜10万円程度とされ、高気密をうたう会社では測定費が建築費に含まれていることもあります。
裏を返すと、気密測定をしない会社では、C値は分からないまま引き渡されます。ハウスメーカー選びの段階で「全棟で気密測定をしていますか?」と聞くこと自体が、性能への本気度を測る質問になります。
らく子なぜ、窓にだけは追加でお金を出したのか
家を建てる前、フルリフォーム済みの賃貸に住んでいた時期があります。築20〜30年でしたが、内装は一新されていて、フローリングも壁紙もシステムキッチンもきれい。正直、かなり気に入って入居しました。
ところが冬になって気づきました。結露がすごいのです。よく見ると、サッシだけは以前のまま交換されていませんでした。ガラスもおそらく1枚。内装がどれだけきれいでも、窓が古いままなら断熱性能は当時のままだったわけです。
さらにその部屋は道路沿い・線路沿いでした。建物自体はRC造で丈夫なので、隣や上の階の生活音はまったく気になりません。それなのに外の音だけはよく入ってくる。原因はやはり窓でした。
この経験があったので、家を建てるときは窓を最優先にしました。壁や屋根の断熱は標準仕様でも一定の水準がありますが、窓は選ばないと変わりません。+32万円を出したのは、性能の数字を追いかけたかったからというより、あの結露をもう一度見たくなかったからです。
ちなみに、これから中古やリフォーム済み物件を検討する方にお伝えしたいのもここです。「リフォーム済み」でもサッシは交換されていないことがあります。内見では内装のきれいさに目が行きますが、窓枠とガラスが何枚かは必ず確認してください。冬の結露と、外からの音に直結します。
樹脂サッシに+32万円は、元が取れたのか
正直なところ、光熱費だけで32万円をきっちり回収できたかは、我が家では計算しきれていません(太陽光と蓄電池も同時に入れているため、窓だけの効果を切り分けられないからです)。数字での回収を断言するつもりはありません。
そのうえで、体感としては「やって良かった」と即答できます。理由は次のとおりです。
- 1階は性能の良いエアコン1台で、階全体がムラなく涼しい(部屋ごとの温度差が小さい)
- 窓際の「冷気が落ちてくる感じ」「夏の熱がこもる感じ」が明らかに少ない
- 結露の悩みがほとんどない
窓は、家の中で最も熱が出入りしやすい部分です。壁の断熱材を厚くするより、窓の仕様を上げるほうが数値にも体感にも効きやすいというのが、実際に建ててみての実感です。予算に限りがあるなら、まず窓から検討する価値があると思います。
語られにくいけれど、窓は「音」にも効きます
樹脂サッシの話は、たいてい断熱と光熱費で語られます。ただ、2年住んで実感しているのはもうひとつの効果、遮音のほうです。ここはあまり語られないので、書いておきます。
私はこれまでに何度も引っ越していて、木造・RC造・軽量鉄骨の賃貸に住んできました。そのなかで気づいたのは、音の入り方は「構造」だけでは決まらないということです。
住んだ家の「聞こえ方」を、体感で並べてみます
| 住まい | 構造・窓 | 実際どのくらい聞こえたか |
|---|---|---|
| 学生時代のアパート | 木造(築30〜40年) 隙間風があるレベル |
普通によく聞こえる。会話も聞こえるかも、というレベル |
| リフォーム済みの賃貸 | RC造だがガラスは1枚 道路沿い・線路沿い |
隣や上階の生活音は気にならない。ただし車と電車の音が十分気になる。寝るときに不便を感じるレベル |
| シャーメゾン | 軽量鉄骨+二重ガラス | 車の走行音は気にならない。クラクションやサイレンはさすがに聞こえる |
| Dルーム(結婚前後に居住) | 軽量鉄骨+二重窓 | 周りの生活音も外の音も、あまり気にならなかった |
いちばん意外だったのは2つ目です。RC造なのに、寝るときに音が気になった。建物はしっかりしていて、隣の生活音はまったく聞こえないのに、外の音だけは入ってくる。入口になっていたのは窓でした。
逆にいちばん静かだったのは、鉄骨造でガラスが2枚だった部屋です。構造としてはRCのほうが重量がありますが、体感で静かだったのは窓が良かったほうでした。
だから「構造で選んで、窓で失敗する」ことがある
賃貸を探すとき、多くの人が「木造は避けたい」「RCなら安心」と構造で判断します。私もそうでした。でも実際には、RC造でも窓が1枚ガラスなら、線路沿いでは眠りが浅くなります。構造は隣戸の音に効き、窓は外の音に効く。役割が違うんです。
家を建てるときに窓へ追加費用を出したのは、この経験があったからです。断熱の数値を取りにいったつもりでしたが、住んでみて先に実感したのは静かさのほうでした。今の家は幹線道路沿いではないので条件は良いのですが、それでも「外の気配が遠い」感覚は、前に住んでいた部屋とはっきり違います。
これから建てる方、あるいは賃貸を探す方へ。窓は、断熱と遮音の両方を一度に買っていると考えると、費用の見え方が少し変わると思います。内見のときは、ガラスが1枚か2枚かを必ず見てください。サッシの内側に、ガラスとガラスの間の空気層が見えるかどうかで判断できます。
※体感には個人差があり、立地(幹線道路・線路からの距離)や階数によっても変わります。ここに書いたのは、我が家が実際に住んだ範囲での感じ方です。
一番効いたのは「契約前に伝えていたこと」
振り返って、性能面でこれが一番効いたと感じているのは、テクニックではありません。契約前の段階から「断熱・気密を重視したい」とハウスメーカーにハッキリ伝えていたことです。
断熱・気密は、間取りや内装と違って「後から足す」のが難しい項目です。契約後に言っても、仕様変更にお金と時間がかかります。逆に、契約前に要望として共有しておけば、提案の前提に組み込んでもらえます。
あわせて、我が家では第三者によるホームインスペクション(住宅診断)も入れました。これがC値0.29という結果にどこまで寄与したかは断定できませんが、「見られている」という前提が現場に良い緊張感を生んだ可能性はあると思っています。
最大の反省:性能に見合う「空調計画」をしていなかった
ここからが、この記事で一番伝えたい失敗談です。
断熱・気密にこだわった結果、1階はエアコン1台で階全体が快適という理想的な状態になりました。ところが2階は各居室が壁で仕切られているため、部屋ごとにエアコンが必要になってしまったのです。現在は2階だけで3台。まだ設置していない部屋に付ければ、2階だけで合計4台になります。
エアコンは10年前後で買い替えが必要な設備です。4台を10年ごとに更新すると考えると、初期費用よりもその後の買い替え費用がじわじわ効いてきます。せっかく性能にお金をかけたのに、ランニングコストで取り返されてしまう構図です。
屋根裏(小屋裏)エアコンという選択肢と、その条件
設計段階で検討しておくべきだったのが、屋根裏(小屋裏)エアコンです。小屋裏に設置したエアコンの冷気が下に落ちる性質を使って、少ない台数で広い範囲を冷やす考え方です。
ただし調べてみると、これは「付ければ誰でも快適」という単純な設備ではありませんでした。成立させるには条件があります。
- 気密:C値1.0以下、できれば0.7〜0.8程度が目安(我が家の0.29はクリア)
- 断熱:1台で全館冷房まで狙うならHEAT20 G2.5以上、UA値0.36程度が目安とされる(我が家の0.54では、1台で全館は厳しい)
- 屋根の断熱:グラスウール等で150〜200mm以上が必要とされる
- 冷気の通り道:階段など、冷気が落ちるルートを居室側に設計しておく必要がある
- 日射のコントロール:軒や庇で夏の日差しを止めないと冷えきらない
- 結露リスク:夏型結露(逆転結露)が起こりうるため、湿度・温度・気流の設計が必要
つまり我が家の場合、気密は条件を満たしていたが、断熱は「1台で全館」の水準には届いていなかったということになります。それでも、2階だけをまかなう計画であれば十分に検討の余地はありましたし、何より設計段階でこの選択肢をテーブルに載せていなかったこと自体が反省点です。
出典(2026年8月時点で確認)
・気密測定の費用相場5〜10万円、C値1.0以下が高気密の目安:MU設備/キノエデザイン/ハーバーハウス
・小屋裏エアコンの成立条件(C値・UA値・屋根断熱厚・日射制御・結露リスク):サンキハウス/レガロ建築設計/MXエンジニアリング
※数値は各社が示す一般的な目安であり、実際の可否は個別の設計条件によります。
もうひとつの盲点:室外機の置き場所
空調計画とセットで後悔しているのが、室外機の置き場所です。
我が家は耐震性能とコスト効率を重視して総2階にし、ベランダも作りませんでした。この判断自体は今でも後悔していません。ただ、ベランダがないということは2階の室外機を置く場所がないということでもありました。
2階のエアコンを増設しようとすると、室外機を1階まで下ろすことになります。しかもその置き場所が、家の真正面――それもウッドデッキの上(庭の特等席)。見た目にも、庭の使い勝手にも影響します。
間取りやデザインを決める段階で、「各エアコンの室外機をどこに置くか」「配管ルートをどう通すか」まで図面に落としておくべきでした。総2階やベランダなしは合理的な選択ですが、その分だけ室外機の計画は真剣に詰める必要があります。
これから建てる人へ:性能まわりのチェックリスト
- 契約前に「断熱・気密を重視したい」と要望を伝えているか
- UA値の目標値を確認し、地域区分(自分の地域が何地域か)も把握しているか
- 全棟で気密測定を実施しているかをハウスメーカーに質問したか
- C値は引き渡し前に実測を依頼しているか
- 窓の仕様(樹脂サッシ/ペア・トリプルガラス)を検討したか
- 各階・各部屋の空調計画(何台・どこに設置するか)を決めているか
- 少ない台数での空調(屋根裏エアコン等)を検討したか。検討するなら成立条件を満たしているか
- すべてのエアコンの室外機の置き場所・配管ルートを図面で確認したか
- エアコンの台数×買い替え周期(約10年)で、将来のランニングコストを試算したか
よくある質問(FAQ)
Q. UA値0.54・C値0.29は良い数字ですか?
A. 6地域(愛知県など)で見ると、UA値0.54は断熱等級5(ZEH基準0.6以下)をクリアし、HEAT20のG1目安0.56を上回る水準です。C値0.29は高気密の目安1.0を大きく下回ります。国の基準を超えた、しっかりした性能だと考えています。
Q. 樹脂サッシへのアップグレードは必要ですか?
A. 予算が許すなら検討する価値は大きいと感じています。我が家は324,200円(税抜)かかりましたが、窓は家の中で最も熱が出入りする部分なので、数値にも体感にも効きやすい投資でした。ただし光熱費だけで何年で回収できるかは、太陽光など他の設備の影響もあり、我が家では切り分けて計算できていません。
Q. 高断熱・高気密ならエアコン1台で足りますか?
A. 間取り次第です。我が家では仕切りの少ない1階はエアコン1台で階全体が快適ですが、壁で仕切られた2階は部屋ごとに必要になりました。1台で家全体を冷やす計画(屋根裏エアコン等)を狙うなら、UA値0.36程度・C値1.0以下といった条件が目安とされます。
Q. 気密測定はいつ依頼すればいいですか?
A. 引き渡し前に依頼するのが基本です。費用相場は5〜10万円程度で、高気密をうたう会社では建築費に含まれている場合もあります。契約前に「全棟で測定しているか」を確認しておくのがおすすめです。
📚 賃貸で体験した音と窓の関係も含めた住まい遍歴は「8回引っ越して分かった、住まい選びで本当に効くこと|賃貸7軒の不満が注文住宅の仕様になるまで」にまとめています。
まとめ
断熱・気密は、間取りやインテリアと違って毎日「見える」部分ではありません。それでも2年住んでみて、満足度が一番高かったのはこの性能面でした。契約前から要望として伝え続けたことが、UA値0.54・C値0.29という結果につながったと思っています。
一方で、最大の反省は「性能を活かしきる空調計画をしていなかった」ことです。1階はエアコン1台で足りているのに、2階は3台(将来4台)。屋根裏エアコンという選択肢も、室外機の置き場所も、設計段階で検討していませんでした。
断熱・気密の数値と、空調計画はワンセット。数値を追いかけるだけでなく、「その性能をどう使うか」まで設計してこそ、投資が生きます。これが2年住んで得た、一番リアルな教訓です。
性能で後悔しない家づくりのために
断熱・気密は「契約前」に伝えるほど反映されやすい項目です。まずは複数社の考え方や仕様を比較しておくと、質問の精度も上がります。
・住宅のプロに無料で相談したい方 → 住まいのいろはPlus(無料相談)
・まず各社の資料を集めて比較したい方 → 持ち家計画(無料資料請求)
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──以上、愛知県名古屋市の共働き夫婦・はた夫&らく子でした。それではまた、次の記事で!
📚 アサヒグローバルホームについて知りたいことが他にもある方へ。坪単価・総額・評判・後悔・標準仕様までを1ページにまとめた「アサヒグローバルホームで建てた全記録|契約から入居までの全記録」から、必要なところだけ読めます。


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