我が家はNISAを満額使っていますが、iDeCoはまだやっていません。節税になるのは分かっています。それでも見送っている理由は「60歳まで引き出せない」という一点です。住宅ローンを返しながら子育てをしている今、効くのは節税額よりもすぐ動かせるお金だと判断しました。
iDeCoは掛金が全額所得控除になる強力な節税制度です。それでも「まずNISAを優先し、iDeCoは今は見送る」という考え方をする世帯も少なくありません。この記事では、iDeCoとNISAをどちらから優先すべきかの判断軸を、2027年1月に予定されている制度改正もふまえて出典付きで整理します。
※本記事は一般的な制度情報の整理です。特定の金融商品の推奨ではありません。投資判断はご自身の状況に応じて行ってください。
らく子
はた夫iDeCoの基本:節税は強いが60歳まで引き出せない
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、掛金が全額所得控除になる点が最大のメリットです。所得が高いほど節税効果が大きくなる仕組みで、住民税・所得税の負担を毎年軽くできます。
一方でデメリットもはっきりしています。原則として60歳まで資産を引き出せません。途中で急にお金が必要になっても、iDeCoの資産をあてにすることはできない、という制約です。
優先順位を分ける判断軸:流動性を取るか、節税を取るか
NISAとiDeCoのどちらを優先すべきかは、「今の家計に流動性の余裕があるか」で分かれます。
- 住宅ローンの返済が始まったばかり
- 子どもが小さく、教育費がこれから本格化する
- 共働きでも、どちらかが働けなくなる可能性はゼロではない
こうした状況にある家庭では、「節税になるから」と手元資金を60歳まで動かせない場所に置くより、いつでも引き出せるNISAを先に埋めるという考え方が合理的になりやすい、というのが一般的な整理です。節税額そのものは魅力的ですが、それは「そのお金を使わずに済む」前提があってこそ成立します。
逆に、教育費や住宅ローンのめどが立ち、家計に余裕が出てくれば、iDeCoは有力な選択肢になります。
新NISAの特徴を先に押さえる
新NISAには次の特徴があります。
- 生涯投資枠は1,800万円(年間投資枠は最大360万円)
- 非課税で保有できる期間に期限がない
- 売却すれば投資枠が復活して再利用できる
- 必要になればいつでも引き出せる
とくに「いつでも引き出せる」「枠が復活する」の2点は、iDeCoにはない強みです。しかも枠が1,800万円あるので、当面はここを埋めることに集中する、という順番で考えることもできます。「NISAかiDeCoか」ではなく「どちらを先にするか」という順番の問題として捉えると整理しやすくなります。
| 比較項目 | NISA | iDeCo |
|---|---|---|
| 引き出し | いつでも可能 | 原則60歳まで不可 |
| 節税メリット | 運用益が非課税 | 掛金が全額所得控除+運用益非課税 |
| 受け取り時 | 課税なし(もともと非課税) | 退職所得控除・公的年金等控除の対象(要件あり) |
| 口座管理手数料 | 証券会社によって無料 | 加入時2,829円+毎月最低171円(金融機関により上乗せあり) |
手数料まで含めて比べると、iDeCoは「節税効果 > 手数料」になるかどうかも判断材料になります。掛金が少ないうちは、所得控除のメリットが手数料を上回るかを確認しておくと安心です。なおiDeCoの手数料は2027年1月26日引落分から改定され、国民年金基金連合会分が月105円→120円に上がり、最安の口座管理手数料も月171円→186円になる予定です。掛金上限の引き上げと同じタイミングでの改定なので、あわせて把握しておくとよさそうです。
2027年1月の改正で、判断材料が変わる
もうひとつ押さえておきたいのが、iDeCoは2027年1月に大きな改正が予定されていることです。
| 項目 | 現行 | 2027年1月から(予定) |
|---|---|---|
| 掛金上限(企業年金のない会社員・第2号被保険者) | 月2.3万円 | 月6.2万円(約2.7倍) |
| 掛金上限(自営業者等・第1号被保険者) | 月6.8万円 | 月7.5万円 |
| 加入できる年齢 | 65歳未満 | 70歳未満 |
掛金の上限が上がるということは、本気で使うなら後からでも十分に積めるということです。加入できる年齢も延びます。「今すぐ始めないと取り返せない」という性質の制度ではなくなってきている、と読むこともできます。
あわせて、新NISA側も2026年から変更があります。これまで売却した非課税枠が復活するのは「翌年以降」でしたが、2026年からは当年中に復活する運用に変わります。ライフイベントで一時的に売却しても、枠を無駄にしにくくなるという実務上のプラス材料です。
出典(2026年8月確認)
・iDeCoは2027年1月の掛金引落分から拠出限度額を引き上げ予定。企業年金のない会社員・役員は月2.3万円→月6.2万円、自営業者等(第1号被保険者)は月6.8万円→月7.5万円。加入可能年齢は65歳未満→70歳未満へ拡大:INVESTORS News/Yahoo!ニュース エキスパート(山崎俊輔)/社会保険労務士法人プラットワークス
・新NISAの生涯投資枠は1,800万円(年間投資枠は最大360万円)。非課税保有期間は無期限で、売却すると投資枠が再利用できる。2026年からは非課税枠の復活タイミングが翌年以降から当年中に変更:楽天証券/ダイヤモンドZAi
・iDeCoの加入時手数料は2,829円、口座管理手数料は最低月171円(国民年金基金連合会分105円+事務委託先金融機関分66円)。2027年1月26日引落分から国民年金基金連合会分が月120円に改定され、最低の口座管理手数料は月186円になる予定:iDeCo公式(国民年金基金連合会)
※制度内容は今後変更される可能性があります。実行前に必ず最新の公式情報をご確認ください。
iDeCoが向いている人/NISAを先にしたほうがよい人
整理すると、次のように分かれると考えられます。
iDeCoが向いていると思われる人
- NISAの枠を使い切る見込みがある、または既に埋まっている
- 所得が高く、所得控除の効果が大きい
- 60歳まで動かさなくても生活・教育費に支障がない
今はNISAを先にしたほうがよいと思われる人
- 住宅ローンが始まったばかりで、手元資金の自由度を確保したい
- これから教育費が本格化する
- 収入が今後上がる見込みがあり、節税効果が大きくなるのを待てる
【実体験】我が家はNISAを満額。iDeCoはまだやっていません
我が家の現状は、はっきりしています。
NISAは最大限活用している。iDeCoはまだ使っていない。
iDeCoを後回しにしている理由
理由はひとつです。iDeCoは現金の流動性が著しく低いから。
年収的には、iDeCoを活用すれば「今の」税金には恩恵が得られます。そこは分かっています。それでも、60歳まで引き出せないという資金拘束のデメリットが大きすぎると判断しました。
だからまずはNISAを満額埋めるところから考えています。NISAなら、いざというときに取り崩せます。
この判断は、住宅ローンの借り方と同じ思想です
我が家は住宅ローンをオーバーローン(諸費用・家具家電まで借入に含める)で組みました。手元の現金をできるだけ減らさないためです。
iDeCoを後回しにしているのも、根っこは同じです。
手元に、流動性の高い資産を持っておくことが大事。
失業・病気・不意の出費。そういうときに効くのは、節税額ではなくすぐ動かせるお金です。住宅ローンの組み方についての考えは住宅ローンとNISAはどっち優先?共働き夫婦の繰り上げ返済の判断軸【2026年】にまとめました。
ただし、これは我が家の優先順位です
資金拘束が気にならない人、老後資金を確実に別枠で作りたい人にとっては、iDeCoの節税メリットは非常に大きいです。年収が高いほど効きます。
我が家がやっていないのは「iDeCoが悪いから」ではなく、流動性を優先するという価値観の結果にすぎません。ここは各家庭で答えが変わるところです。
よくある質問(FAQ)
Q. iDeCoをやらないのは損ですか?
A. 節税額だけを見れば機会損失に見えます。ただ、iDeCoは60歳まで引き出せないため、そのお金を60歳まで使わずに済むかが前提になります。住宅ローンや教育費でお金が動く時期は、その前提が崩れやすい点に注意が必要です。
Q. NISAとiDeCo、どちらを先にすべきですか?
A. 一般論として、引き出しやすさを重視するならNISA、所得控除の効果を重視するならiDeCoという整理になります。住宅ローン返済中で流動性を優先したい家庭は、NISAを先に埋める考え方が合いやすいでしょう。
Q. 2027年の改正を待ったほうがいいですか?
A. 待つべきと断言はできません。ただ、掛金上限が引き上げられ、加入年齢も70歳未満まで延びる予定なので、後から挽回できる余地は広がります。急いで始める理由は、以前より少し減ったと言えそうです。
まとめ
iDeCoは強力な制度ですが、60歳まで引き出せないという一点は無視できません。住宅ローンが始まり、教育費がこれから増える時期には、手元資金の自由度を優先してNISAを先に埋める、という考え方があります。
いつでも引き出せて、売却すれば枠が復活し、生涯投資枠は1,800万円。2027年1月には掛金上限の引き上げと加入年齢の延長も予定されており、iDeCoは後からでも十分に積み増せる制度に変わっていきます。
「やるかやらないか」ではなく「いつやるか」で考える。迷っている共働き家庭の判断材料になればうれしいです。
──以上、愛知県名古屋市の共働き夫婦・はた夫&らく子でした。それではまた、次の記事で!


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