住宅ローンは「金利が低ければOK」と思われがちですが、実際にはそう単純ではありません。土地の条件(親族名義・共有名義など)によって使えない金融機関があったり、夫婦のどちらの名義でどう借りるかで住宅ローン控除の効き方が変わったりと、確認すべき点が多くあります。この記事では、共働き夫婦が住宅ローンを組むときの判断ポイントを、2026年8月時点の金利相場もふまえて出典付きで整理します。
らく子
はた夫2026年9月時点の住宅ローン金利相場
日銀の利上げが続いており、変動金利は徐々に上昇しています。2026年9月時点の主なネット銀行・大手銀行の変動金利は次の通りです。
| 金融機関 | 変動金利(2026年9月) |
|---|---|
| SBI新生銀行/イオン銀行 | 各 0.990% |
| ソニー銀行(変動セレクト) | 1.347% |
| au じぶん銀行 | 1.080% |
| 楽天銀行 | 1.557% |
| ドコモSMTBネット銀行 | 1.750% |
| ネット銀行の平均 | 1.292% |
2026年6月の金融政策決定会合で、日銀の政策金利は0.75%から0.25%引き上げられ、1.00%になりました。1995年以来、約31年ぶりの水準です。この影響が各行の金利に順次反映されています。
2026年9月も金利の引き上げが続いており、ドコモSMTBネット銀行が年0.200%、楽天銀行が年0.014%、三菱UFJ銀行と三井住友銀行がそれぞれ年0.250%引き上げました。メガバンクはみずほ銀行1.025%/三菱UFJ銀行1.195%/三井住友銀行1.525%(平均1.248%)という水準です。
「今の金利」だけでなく「今後も上がっていく前提」で返済計画を立てておくことが、2026年時点では特に重要です。とくに変動金利で借りる場合は、政策金利がさらに上がったときに返済額がいくらになるかを先に試算しておいてください。
土地の条件が融資に影響することがある
親族名義の土地に建てる場合や、土地の所有者が複数人(共有名義)の場合は、住宅ローンの審査で確認事項が増えます。土地の所有者が本人以外のときは、その所有者が「担保提供者」として抵当権設定に同意する必要があるためです。担保提供者になれる範囲は金融機関によって異なりますが、配偶者・子・親(配偶者の親を含む)・兄弟までを対象とするケースが一般的です。
ネット銀行だから一律に組めない、というわけではありませんが、共有名義や親族名義の土地は通常の単独名義に比べて手続きが複雑になり、対応できる金融機関の選択肢が狭まりやすいのは事実です。該当する場合は、早い段階で複数の金融機関に土地の条件を伝えて、審査可否を確認しておくことをおすすめします。
共働き夫婦の借り方4パターン
共働き夫婦には「どちらの名義で、どう借りるか」という選択があります。主な方法は次の4つです。
| 方法 | ローン本数 | 団信 | 住宅ローン控除 |
|---|---|---|---|
| 一人名義 | 1本 | 1人分 | 1人分 |
| 連帯保証 | 1本 | 主債務者のみ加入 | 主債務者の1人分のみ |
| 連帯債務(フラット35など) | 1本 | 商品により両者加入可 | 持分に応じて2人分 |
| ペアローン | 2本 | 各自加入 | 2人分フル活用 |
共働きで双方に収入があるなら、ペアローンまたは連帯債務は住宅ローン控除を2人分使いやすく、税制上は有利になりやすいとされています。とくにペアローンは団信も各自で加入するため、片方が亡くなった場合はその人の分のローンだけが完済される仕組みです(連帯保証では、連帯保証人は原則団信に加入できません)。
ペアローンの注意点
メリットが語られがちですが、次の点は事前に確認しておく必要があります。
- 団信が別々:片方が亡くなっても、もう片方のローンは残る(連帯債務型の一部商品のように、片方の債務がなくなる保障ではない)
- どちらかの収入が減ると家計への影響が大きい:2人分の収入を前提に借入額を決めるため、退職・長期休職時の返済負担をあらかじめ試算しておく必要がある
- 諸費用が2本分かかる:事務手数料・登記費用などがそれぞれに発生し、1本のローンより諸費用が高くなりやすい
住宅ローン控除の基本(2026年時点)
2026年時点の住宅ローン控除の概要は次の通りです(詳しい確定申告の手続きは住宅ローン控除の確定申告、共働き夫婦はどちらで申請する?で解説しています)。
- 控除率:借入残高の0.7%/年
- 控除期間:新築の場合最大13年
- 対象借入上限:子育て世帯等は5,000万円
変動金利が0.9〜1.5%台まで上がってきた今、金利が控除率0.7%を上回る金融機関も出てきています。「控除期間中は繰上返済より投資や貯蓄を優先」という考え方が必ずしも成り立つとは限らない点には注意が必要です。金利と控除率の大小関係は、契約している金融機関の金利水準ごとに確認しましょう。
住宅ローンを選ぶ前のチェックリスト
- 土地の所有者は誰か(自分・親族・共有名義)。担保提供者の同意が必要になるか確認したか
- 希望する金融機関に、土地の条件を伝えたうえで事前審査の可否を確認したか
- 不動産会社が提案する金融機関以外も自分たちで比較したか
- ペアローン・連帯債務・連帯保証、それぞれの団信と控除の違いを理解したか
- 変動金利の場合、金利が今後さらに上昇した場合の返済額をシミュレーションしたか
【実体験】我が家が連帯債務を選んだ理由
我が家は3,400万円・金利0.40%・35年を連帯債務で借りました。
ハウスメーカーの営業からは、年収的にも余裕があったことから「なぜもっと借りないのか、なぜ夫婦2人で組むのか」と聞かれています。それに対する我が家の答えを書いておきます。
夫婦2人で組んだ理由:控除の恩恵を取りこぼさないため
いちばんの理由は住宅ローン控除でした。
住宅ローン控除は、納めた所得税・住民税から差し引かれる制度です。つまり納税額が少ない年は、控除枠を使い切れません。
共働き夫婦の場合、ここにリスクがあります。
お互いに育休などで、満額の控除の恩恵を得られない可能性がある。
1人の名義に借入を寄せると、その人が育休に入った年の控除がまるごと目減りします。そこで二人で分けることで、そのリスクを減らしたかったというのが出発点でした。
実際、我が家はその後に育休を経験しています。結果として、この判断は効きました。
ではなぜ、ペアローンではなく連帯債務にしたのか
ここが、我が家がいちばん「知ってよかった」と思っている部分です。
「夫婦2人とも住宅ローン控除を受けたいなら、ペアローンにするしかない」と思い込んでいませんか。我が家は最初そう考えていました。
ところが、調べていくうちにこう分かりました。
連帯債務でも、夫婦ともに住宅ローン控除を受けられる。
控除の目的が達成できるなら、わざわざローンを2本に分ける必要はありません。それで連帯債務を選びました。
ペアローンは夫婦それぞれが債務者になって契約が2本になります。連帯債務は1本の契約を夫婦2人で背負う形です。どちらを選ぶかで団信の扱いや諸費用の考え方も変わってくるので、「両方が控除を受けられるかどうか」だけで決めず、この記事の比較表とあわせて金融機関に確認してみてください。
「もっと借りないのか」に対する考え方
借入額については、こう考えていました。
高い家を買うこと自体は、贅沢品であり浪費である。その前提のうえで、なるべく効率的に家づくりがしたかった。
借りられる額と、借りるべき額は違います。上限まで借りることは目的ではありませんでした。
そのぶん、家づくり全体の設計で余力を作っています。土地は親の持ち土地を使わせてもらい、坪単価の安いハウスメーカーを選びました。浮いたぶんを広さや時短への課金に回しています。
駅近や都心の土地で高単価のハウスメーカーを選んでいたら、同じ予算では狭小地住宅になっていたはずです。どちらが正しいという話ではなく、価値観の置き方の問題だと思っています。
なお諸費用・家具家電まで含めたオーバーローンにした理由と、ボーナス返済を選ばなかった理由は住宅ローンとNISAはどっち優先?共働き夫婦の繰り上げ返済の判断軸【2026年】に書きました。借入先選びでつまずいた話は住宅ローンの借入先選びで後悔にあります。
【実体験】「借りられる額」と「借りていい額」は違いました
金利や借り方の話をしてきましたが、我が家がいちばん時間をかけたのは「いくらまでなら借りていいか」のほうでした。
ハウスメーカーを比較していたとき、候補のひとつは高性能で評判のよい会社でした。試算してもらった結果、ローン自体は組めることが分かっています。審査が通らなかったわけではありません。
それでも選びませんでした。理由は単純で、今後の人生のなかで、住宅費にかけるお金がそこまで高くなることを、価値観として良しとできなかったからです。借りられるかどうかではなく、その返済と何十年もつき合いたいかどうかで決めました。
同じ判断を、これまでに3回しています
あとから振り返ると、私はこの判断を人生で3回繰り返していました。
- 学生時代。かなり古い、お世辞にも快適とは言えないアパートに住んでいました。お金がなかったのも事実ですが、生活レベルは一度上げると下げるのが大変だと考えていたのと、この水準でも生きていけると知っておくこと自体に価値があると思っていました
- 初めて家を買うとき。予算的には注文住宅にも手が届きました。それでもそこまでの費用を出すことを良しとできず、分譲戸建を選びました
- そして家を建てるとき。ローンは組めるのに、住宅費の水準そのものを受け入れられませんでした
3回とも、判断基準は同じでした。払えるかどうかではなく、払っていいと思えるかどうかです。
なぜこの基準が大事だと思うのか
住宅ローンは、返済が始まってからのほうがずっと長く続きます。審査に通った瞬間がゴールではありません。そして生活レベルは、上げるのは一瞬ですが、下げるのは本当に大変です。これは実感としてあります。
家の予算も同じ構造をしています。オプションを足すのは打ち合わせの場で数十分あれば決まりますが、返済は何十年も続きます。我が家も契約時の予算枠に対して、追加変更が最終的に約4.5倍になりました。一つひとつは納得して足したものでも、合計を意識しないと簡単に膨らみます。
だから、金利や控除の比較と同じくらい、「この返済額で、これから何十年か暮らしたいか」を先に決めてください。数字の上で借りられる額は、金融機関が計算してくれます。でも借りていい額を決められるのは、自分たちだけです。
※ここに書いたのは我が家の価値観であって、正解というつもりはありません。住宅にお金をかけること自体は、まったく否定していません。判断の軸を先に持っておくと迷いにくい、という話として読んでいただければと思います。
よくある質問(FAQ)
なお、育休中に借り換えができるのかという論点は ペアローン借り換えは育休中でもできる?審査の注意点【2026年】で詳しく検証しています。
Q. 不動産会社が紹介する金融機関だけで決めていいですか?
A. 提携金融機関は仮審査がスムーズという利点がありますが、必ずしも最も条件の良い選択肢とは限りません。自分たちでも住宅ローン比較サービスや他行に相談し、複数の選択肢を並べて比較することをおすすめします。
Q. 親族名義や共有名義の土地だと住宅ローンは組めませんか?
A. 組めないわけではありませんが、担保提供者の同意手続きが必要になり、対応できる金融機関が限られることがあります。早めに複数の金融機関へ相談しておくと安心です。
Q. ペアローンと連帯債務、どちらがいいですか?
A. 住宅ローン控除を2人分フルに使いたいならペアローン、団信をどちらも手厚くしたい・諸費用を1本分に抑えたいなら連帯債務(対応商品による)が候補になります。どちらか一方が正解というより、収入バランスや保障の考え方次第です。
📚 「借りていい額」で他社を見送った経緯は「一条工務店・アサヒグローバル・アイ工務店を比較した結果|同じ条件で仮プランを出してもらって決めました」にまとめています。
まとめ
住宅ローン選びで押さえておきたいポイントは大きく2つです。
1. 金融機関は自分たちでも比較する:不動産会社の提案だけに頼らず、希望する金融機関があれば自分たちからも積極的に確認・相談する。
2. 土地の条件を事前に確認する:親族名義・共有名義の土地がある場合は、担保提供の手続きが必要になることがあるため、早めに金融機関へ確認する。
住宅ローンは数十年付き合う大きな契約です。金利の数字だけでなく、名義の組み方・団信の保障・控除の効き方まで含めて、夫婦で比較・検討することが大切です。
出典(2026年9月確認)
・2026年8月時点の変動金利相場(SBI新生・イオン各0.990%/auじぶん1.080%/ソニー1.347%/楽天1.557%/ドコモSMTB1.750%、ネット銀行平均1.292%)、日銀政策金利1.00%(2026年6月に0.75%から引き上げ)、9月の金利改定幅:モゲチェック/モゲチェック(2026年9月動向)
・親族名義・共有名義の土地における担保提供者の仕組みと対象範囲:住信SBIネット銀行/ソニー銀行
・ペアローン・連帯債務・連帯保証の違い(団信・住宅ローン控除・諸費用):Recruit Finance/モゲチェック/SBI新生銀行
※制度・金利は変動します。実行前に必ず最新の公式情報をご確認ください。
──以上、愛知県名古屋市の共働き夫婦・はた夫&らく子でした。それではまた、次の記事で!

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